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ランニングで蕁麻疹?!運動誘発アナフィラキシーと上手に付き合う方法

ランニング(もしくはその他の運動)で、蕁麻疹が出た経験はありませんか?

もしかしたらそれは「運動誘発アナフィラキシー」かもしれません!実は、私も長年「ものを食べて走ったら蕁麻疹が出る」といった謎の病に苦しめられてきました。

そしてついに!その原因が発覚!!

ここでは『ランニングなどのスポーツ×食事』で発症する「運動誘発アナフィラキシー」について解説します。

運動誘発アナフィラキシーとは?

運動誘発アナフィラキシーとは、運動をすることで蕁麻疹や血圧低下、呼吸困難などのアナフィラキシー症状が出る疾患です。

重篤な症状に陥ってしまうと死に至る危険性もあるのだとか…。

「運動」といっても、激しいものにとどまらず、軽い運動で発症するケースもあります。

その他にも代謝の上がる行動が引き金になるケースもあるので注意が必要です。

症状は、運動の数時間前に食事をすることで起きやすくなり、これを食物依存性運動誘発アナフィラキシー(food-dependent EIAn: FDEIAn)と呼んでいます。
わが国では、誘因となる食物は小麦関連製品が多いのが特徴です。
以前は稀な病気とされていましたが、医師の間で認知度が高まるにつれて診断例も増え、現在は報告例だけでも数百例以上にのぼり、実数はその数倍以上と推定されています。

(参考:渋谷内科呼吸器アレルギークリニック

運動誘発アナフィラキシーはどうして起きるの?

運動や食事により、肥満細胞というアレルギー反応で重要な役割を担う細胞からヒスタミンが放出されます。

ヒスタミンが原因となり、じんましんや呼吸困難のような症状を誘発します。
食事×運動により、食物中のアレルゲンの吸収を高めることが原因になると考えられています。

ヒスタミンとは・・・

ヒスタミン(ひすたみん)とは、末梢、中枢神経系に広く分布する生理活性物質である。生体内で炎症、アレルギー反応、胃酸分泌、神経伝達に関与している。ヒスタミンは、肥満細胞、白血球、胃腸の細胞、脳の神経細胞などに存在する酵素により生合成され、そこで作用もしくは貯蔵される。

(参考:看護roo!用語辞典

運動誘発アナフィラキシーで引き起こされる症状

運動誘発アナフィラキシーの症状は、食後2時間以内に運動をした時に発症しやすいと言われています。症状には個人差がありますが、以下のような症状を引き起こします。

  • じんましん
  • かゆみ
  • 皮膚の赤み
  • 唇の腫れ
  • 呼吸困難や窒息感
  • 腹痛
  • 下痢

原因は不明で要因はさまざま

サイトなどで運動誘発アナフィラキシーについていろいろと調べてみたものの、認識は高まっているけれど原因ははっきりとわかっていないとされています。

アナフィラキシーの発症には定型のパターンがないことも原因不明の要因。

(参考:食物アレルギー診療ガイドライン2021ダイジェスト版

また、食事×運動が引き金になるだけでなく、疲労やストレス、特定の薬物を服用した後など、その他の要因が加わることで症状が出やすくなることもあるそうです。

生活習慣や運動習慣によっても左右される、ますますややこしい疾患なのです。

【体験談】運動誘発アナフィラキシーに苦しんできた私のランナー人生

私も、高校生の頃からこの「運動誘発アナフィラキシー」に苦しんできました。

なぜ普段は何も起こらないのに、食事をして運動をした時だけじんましんが出るのか。

当時は「体質かな?」と思っていましたが、その症状は治ることなく、部活動のように決まった時間に運動をしていた頃と違い、自分のペースでランニングをする大人になった時の方が発症に苦しんできました。

時には海外で、時には大事なプレゼンの前日に、時には好きな人とのランニングデート中に……。ここでは、私の運動誘発アナフィラキシーにまつわる実際の体験をご紹介したいと思います。

基本的にものを食べて運動すると発症

私の場合、基本的には食事をした後4時間以内にランニングをすることで発症します。

4時間あけていたとしても、その間寝ていたりほとんど動かない場合は消化ができていないためか発症することもありました。

ある日の深夜に大量のからあげを食べ、翌日朝練をした時のこと(間は6時間ほど)。200mのインターバル中に発症したこともありました。

【発症した記憶のある食べ物】

餃子、お好み焼き、ピザ、チャーハン、からあげ、リクローオジサンのチーズケーキ、豚まん

【発症した記憶のない食べ物】

チョコレート、バナナ、ようかん、塩おにぎり、みそ汁、焼き鮭

発症するタイミング

経験から分析すると、約7,8km走り、少し汗ばみ呼吸が上がってきたと自覚するくらいのタイミングで発症します。

そのため、アップの段階で「今日は大丈夫」だと思っていても、本格的に練習を開始して症状が出ることも多々。

イレギュラーな経験としては、食事の後に岩盤浴で汗をかいた時、クラブではしゃいで代謝が上がった時に発症した経験があります。

発症する症状

私の場合は、とにかく目を中心に痒くなり同時にパンパンに腫れます。目は出目金のように一重に腫れ、鼻の骨格が分からなくなるほど腫れることもあります。

本当にひどくなった時には身体全身にも痒さや熱っぽさが広がります。

顔の腫れはなかなか引かず、2,3日鎮静にかかることも茶飯事。

呼吸困難や意識障害はないものの、体はひどくだるく、ボーっと横になって動けなくなります。

運動誘発アナフィラキシーが出てしまった時は

発症を自覚したらまずは運動をストップ!!

いくら家から遠くに走って来てしまってもランニングをやめて一旦呼吸を落ち着かせ、歩いて帰ります(10km以上進んでしまってる時は地獄…小銭があれば電車で帰ることも)

帰宅してすぐに病院で処方してもらったアレルギーの薬を飲みます。薬を飲むと症状が治まることがほとんどです。(かゆみがおさまるだけで、腫れはすぐには引きません)

薬が効くまでの間、氷で冷やすようにしています。お風呂に入ると代謝がまた上がってしまうので、汗をかいていてもシャワーで我慢しましょう。熱いお湯を使ってしまい悪化したことがあるので注意!

そしてとにかく横になって休みます。

重症な状態で病院に駆け込んだことも何度かありました。病院ではじんましんを抑える注射や点滴をしてもらうと、症状がかなりよくなりました!

ついにアレルギーの原因を病院で調べることに

ずっと気にしてこなかった「運動誘発アナフィラキシー」の原因が何なのか、この年になって調べてみました。なんで今まで放っておいたのかは謎。

名古屋にあるばんたね病院のアレルギー科にこの度お世話になりました。

最初の一般的なアレルギー検査では、アレルギー症状は0!運動しないと発症しないので、まあそうだろうなという結果でした。Yes!健康!!

続いてプリックテストを実施。プリックテストとは、食物を摂取後に起こるじんましんやアナフィラキシーショックなどの即時型アレルギーの原因を特定するために行う検査です。

(画像参照:http://www.musashino-allergy.com/menu_1/menu_01.html

方法は簡単で、腕に特別な小さな針で食品の成分を刺し、食物による反応を見ます。小麦やエビ、卵やリンゴなど腕にたくさんの食物を刺し15分ほどおいてみると…。

こちらも反応は無し。何も発見することができませんでした。

そしてついに…アレルギーの原因を発見!

血液検査をより精密に調べて頂く(プロテミオクス手法)こととなり、依頼して約数カ月。

何と、小麦、卵黄(生・加熱)にアレルギー反応を評価したことが判明しました。

これだけ精密に調べないと反応が分からないレベルなので、運動誘発アナフィラキシーの原因に間違いないと自覚しました。

小麦は可能性があるとは自覚していたものの、卵黄は予想外でした。「なんでチャーハンで発症したんだ?!」と思っていたけど、卵黄が原因だったとは。

運動誘発アナフィラキシーの治療法はまだない

病院の先生に話を聞くと、運動誘発アナフィラキシーの治療法は残念ながらまだないらしいです。

ひどくなることもなければ、軽くなることもない(絶対とは言い切れない)ので、気をつけるのみ。

運動の前4時間は注意すべき原因となる食べ物は食べないこと。マラソンや練習などを、翌日朝からおこなう場合には前日夜の食事も気を付けること。

そして、もし仮に症状が発症したらすぐに運動をやめ、速やかに薬を飲んで安静にすること。

治療法がないことに肩を落としたけれど、気を付けるべき食べ物が明確になりこれまでの悩みがかなりスッキリしました。

マラソン前や今後ウルトラマラソンを走る時には気を付けないと!

運動誘発アナフィラキシーの予防に向けてできる対処法

これまでの運動誘発アナフィラキシーの経験と今回の検査を通じて、「自分で気を付けることが一番の対処法である」と改めて感じました。

そして、きちんと自分のアレルギー体質を知ることも重要です。何が原因になっているのかを知ることで、未然に発症を防ぐことができます。

仮にまだ原因が分からないという人は、何で発症したのかを毎回メモに残しておきながら、きちんと病院で検査をすることを強くおすすめします。

病院ではアレルギー剤が処方してもらえるので、万が一発症した時に薬を持っておくことは安心ですよ。

運動誘発アナフィラキシーはうまく付き合っていける

なんとこの運動誘発アナフィラキシーの疾患がある人は、10万人中50人程度と言われています(宝くじ当たっちゃいそうな確率!)。

その分、周りにはあまり理解されないことが多く、私自身も病院ではあまり相手にされてきませんでした。マラソンの合宿や遠征で周りにどう話そうか悩むことも多々あります。

運動誘発アナフィラキシーの症状があったら「運動はやめるべき?」と考える人もいますが、そうではないと私は思います。

現に私も高校生の時からこの疾患と付き合いながら今まで走り続けてきました。

「今日はコンディションが悪そうだ」「食事の後は気を付けよう」など、自分の意識次第でうまく付き合っていけると思っています。ただし、無理は禁物!!

運動誘発アナフィラキシーの疑いがある人は、まずは専門医に相談して適切なアドバイスを受けてくださいね。